
エンゼルフィッシュは南米アマゾン川水系原産のシクリッドで、三角形に大きく伸びた背ビレ・尻ビレと縦縞の体をもつ、熱帯魚の代名詞ともいえる存在です。ゆったりと水中を漂うように泳ぐ姿は「熱帯魚の女王」と称され、スカラレ種を元にマーブル、ゴールド、プラチナ、ベールテールなど数多くの改良品種が作出されています。水質への適応力が高く丈夫なため初心者にも飼いやすい一方、体高が20cm近くに達する立派な中型魚に育つため、将来の体格を見越した水槽選びが長期飼育の鍵になります。
最も懸念が少ない
Least Concern(LC)
絶滅のおそれが低い状態
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幼魚のうちは45cm水槽でも飼育できますが、成魚は体高が背ビレ先端から尻ビレ先端まで15〜20cmに達するため、最終的には高さ45cm以上の60cm規格水槽以上を用意してください。水深が浅いとヒレが水面や底に触れてよれたり、成長が頭打ちになったりします。水温は24〜28℃、pHは弱酸性〜中性(6.0〜7.5)が適しています。水質悪化には比較的強いものの、ヒレが長いぶん水流が強いと疲弊するため、フィルターの吐出口はガラス面に向けるなどして緩やかな流れにします。アマゾンソードなど縦に葉が伸びる水草や流木を配置すると落ち着き、ヒレを傷める心配の少ない自然なレイアウトになります。
雑食性で餌の選り好みはほとんどなく、人工飼料によく慣れます。幼魚期はフレークや小粒の顆粒、成魚になったら口に合う中粒の顆粒やシクリッド用ペレットを主食にすると食べこぼしが減ります。冷凍アカムシやブラインシュリンプ、イトメなどの生餌・冷凍餌を週に2〜3回混ぜると発色と体格の仕上がりがよくなります。給餌は1日2回、2〜3分で食べきる量が目安です。食欲旺盛でねだる仕草をしますが、与えすぎは肥満や水質悪化につながるため、腹部がふっくらした成魚にはやや控えめに与えます。
性格は温和寄りですが、シクリッドらしく縄張り意識があり、成魚は口に入る小魚を捕食することがあります。ネオンテトラやグローライトテトラなどの小型カラシンは、幼魚のうちは問題なくても成長後に被害が出やすいので、ラミーノーズテトラやコンゴテトラなど体高のある中型カラシン、ラスボラ・エスペイ程度以上のサイズの魚と組み合わせるのが安全です。底層をすみ分けるコリドラスやプレコ、ロリカリアとは相性がよい組み合わせです。長いヒレをかじるスマトラやブラックテトラ、気の荒い小型シクリッドは避けてください。同種同士は複数飼育するとペアが形成され、産卵期にほかの個体を激しく追い回すため、群泳させる場合は5匹以上にして攻撃を分散させるか、ペアだけを別水槽に移すと安定します。
幼魚はショップで3〜4cm程度のサイズで販売されていますが、1年ほどで一気に成長します。「小さいから小型水槽で」と考えず、最初から60cm以上の水槽か、将来的な買い替えを前提に計画しましょう。
複数匹から始めると自然にペアができます。ペアは平たい葉やフィルターのパイプ、流木の面を口で掃除してから産卵します。産卵後の親は卵を守るために攻撃的になるので、混泳魚がいる場合は産卵床ごと別水槽へ移すか、親魚を隔離すると落ち着きます。
流れの強い水槽ではヒレを閉じ気味にして物陰で休むようになります。外部フィルターならシャワーパイプをガラス面に向け、上部式ならウールで吐出を和らげるなど、エンゼルが水中でゆったり静止できる環境を作ってください。
ヒレが長い分、白点病やヒレ腐れ病の初期症状がヒレの先端に出やすい魚です。ヒレの縁が白く濁る、裂けるなどの変化は水質悪化のサインなので、週1回3分の1程度の定期換水を欠かさず、異変があれば早めに塩浴や薬浴で対処しましょう。
改良品種のなかでもベールテール系はヒレがさらに長く、泳ぎが遅く水流にも弱いため、より穏やかな混泳魚との組み合わせが必要です。品種ごとの特性を踏まえて水槽環境を調整すると、美しいヒレを傷つけずに維持できます。