
ポリプテルス・セネガルスは、恐竜を思わせる風貌を持つ古代魚ポリプテルス科の一種です。小型で丈夫なため初心者でも飼育しやすく、60cm規格水槽でも飼育可能なことから古代魚入門に最適と言われています。細長い円筒形の体にたくさんのヒレ(背中に「小離鰭」と呼ばれる小さなヒレが8~11枚並ぶのが特徴)を持ち、胸ビレをオールのように使ってゆったり泳ぐ姿はまるで小さな龍のようです。両肺で空気呼吸もできるため、時々水面に顔を出して空気を飲む姿も見られます。
野生下では50~60cm程に達しますが、飼育下では通常30cm前後、大きくても35cm程度で成長が止まることが多いため、60cm水槽で終生飼育が可能とされています。
成長スピードは早めで、生後1年で約20cm前後に達し、その後は徐々に成長が緩やかになります。20cmを超える頃から成長が鈍化し、30cm前後で頭打ちになるケースが多いです。
ノーマル個体は黄褐色~灰色の地味な体色で、幼魚には薄い縞模様が入ることもありますが成長とともに消えます。東南アジアで大量にブリードされているため流通しているのはほぼブリード個体ですが、ワイルド個体の入荷もちらほら見られます。産地ごとに微妙な差異があり(ペルー、イニリダ、トカンチンス、プカルパ、パラグアイ、ミナス等)、これを集めるのも楽しいです。
改良品種として、アルビノ(白~淡黄色の体色で赤い目)、ゴールデン(全身がオレンジに染まる)、プラチナ、ショートボディ、ロングフィンなどの変異個体も見られます。
必ずフタを用意してください。肺呼吸をする際や、何かの拍子に勢いよく泳いだ際に水槽から飛び出す事故が非常に多い魚です。少しの隙間からでも器用に脱走しますので、水槽の隙間はテープや網で塞ぎ、脱走防止を徹底しましょう。
肉食魚であるポリプテルスは排泄物や残餌で水を汚しやすいため、濾過能力の高いフィルターが望ましいです。60cm水槽であれば上部フィルターや外部フィルターが定番です。
適温は25~28℃前後。20℃を下回ると動きが鈍くなり体調を崩しやすいので、冬はしっかり加温しましょう。弱酸性~中性(pH6.0~7.5)の範囲で安定させます。
夜行性で臆病な面もあるため、水槽内には流木やシェルターを入れて隠れ場所を作ってあげましょう。落ち着ける環境があると昼間も安心して過ごせ、ストレス軽減になります。
60cm規格水槽(約60×30×36cm)で単独飼育可能。より大きく育てたい場合や複数個体を混泳させたい場合は90cm水槽以上を推奨。水槽が狭いと成長が緩やかになったり止まったりする(サイズストップ)ことがあります。
肉食性で、生き餌(メダカ、小赤、アカヒレ、エビなど)が最も食いつきが良いです。冷凍赤虫は幼魚~成魚に最適で栄養もあります。人工飼料(キャットなどの沈下性ペレット)にも餌付きますが、時間がかかることもあります。幼魚期(~15cm)は1日1~2回、成魚(20cm以上)は1日おきか2日に1回程度で十分。夜行性のため、暗くなってからの給餌が効果的です。
古代魚の中では丈夫で飼育しやすい部類で、水質悪化にも比較的強く、病気にもなりにくいため初心者にも向いています。口に入るサイズの魚は確実に捕食するため、明らかに大きな肉食魚(ガーや大型ナマズなど)と混泳するとセネガルスが飲み込まれてしまう危険もあります。口に入らないサイズ同士で組み合わせるのが混泳の基本です。


